台北の版元さんに行ってきました。

小説「あん」が台湾で出版されることになり、
版元の博識出版さん(台北)に挨拶に行ってきました。
編集部のミーティングルームにはご覧の通り、
10月2日から公開される映画「恋恋銅鑼焼」のポスターが貼ってありました。
すなわち、小説「あん」も、
タイトルは「恋恋銅鑼焼」となり、来月刊行されます。
博識出版さんからは、すでに拙著「ピンザの島」が、
「山羊島的藍色奇蹟」として発刊されています。
18年ぶりに訪れた台北は、
おっとりと刺激的であるとともに、今後この街とは度々つながるであろうなという予感を抱かせました。
古い街並の寺院の前で、ネット端末を持った若者たちが真面目に祈っている、
という一種の文明交差的魅力もさることながら、
その若者たちの数が絶対的に多く、
けっこうみんないい表情で街を歩いている、
というのが直接のわくわく感の正体かもしれません。
街は旧いけれども、若い人たちの顔が生まれたてなのです。
台風が近付いていたため、
スコールのようなどしゃ降りの雨に時折降られましたが、
その特異な天候のおかげもあって、
全長4キロの猫空ロープウエイから
(少々のビールの酔いとともに)
垣間見た台北市内はあまりに幻想的でした。
広大な、古く新しい街のシルエットが、
虹と夕焼けの双方に囲まれて輝いていたのです。
それは、巨大な感嘆符そのものでした。
博識出版さんのみなさんからは本当に良くしていただきました。
宝石のような台湾料理も、澄んだお酒も御馳走していただきました。
それから、自分の目をはっと開かせることになったある言葉も。
(それは今内緒だけれどね)
ひとつの物語を書いたことで、
街、人、言語と結びついていく。
意識があらたになり、
世界の日めくりがまた一枚更新される。
それは、生のピークのような瞬間です。
猫空で、またビールを飲みたいな。