三宮さんに出会って下さい。

三宮麻由子さんの新しい文庫本『四季を詠む』(1月17日発売)の解説を書かせてもらいました。機会を与えていただき、ありがとうございます。
三宮さんは全盲のエッセイストです。聴覚、嗅覚、味覚、触覚によってこの世を捉え、四季の移ろいを感じ、まさに「積極的感受」の生命として、文字や言葉、そして音楽によって表現なさることで、主体たる、替えのきかない三宮麻由子さんになられています。
この本にボクはどれだけ力をいただいたか。
それは「見えているはずのボクが見えていなかった」という気付きでもあります。
間違いない。
この本は、新たな視野を求めようとしている人にとって
熟した宝石のように、柔らかで艶のある光を投げ掛け続けるでしょう。
ぜひ、読まれて下さい。
素晴らしい時間がやってきます。
ちょっとだけ、解説文の冒頭を紹介しますね。
なんと幸せな読書の時間だったのだろう。三宮麻由子さんからあふれ出る四季折々の透明な表現にひたり、読者として共有できたその感覚のなかで手足を伸ばそうとしたとき、ボクははっきりと幸せだった。
初読の際はもちろん、二度読んでも三度読んでも、いただいた幸せは彩りを変えつつ胸のなかに宿り続けた。そして肌の内側を煌めきすらも伝い、三宮さんと逢えた奇跡を他者にも知らせよと囁きかけた。
つまりボクは星のかけらのようにひとつの光点となり、薄暗い闇のなかで夜明けを待つこれまた多くのかけらたちに対してシグナルを送ろうとしている。だれでもない、三宮麻由子さんご自身が夜の雲をも柔らかに照らす一等の星だからこそ、書き手と読み手の間にこの普遍的な伝播の力が生まれたのだ。
(さあ、三宮麻由子さんと出会おう!)