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上野さんのサーターアンダギー

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『あん』の徳江さんの精神的モデルである上野正子さんと、23日夜、東本願寺「しんらん交流館」にて対談をさせてもらいました。おこしいただいたみなさん、ありがとうございました。満員でしたね。

上野さん、14才のときに発症されて、以来78年間、鹿児島の国立ハンセン病療養所で暮らされてきました。その間、作り続けていらしたのが、ご覧のサーターアンダギーです。

お会いするたびにいつもいただくのですが、今回もまた鹿児島から持ってきて下さいました。芋ではなく、カボチャで作られた逸品です。控えめな甘さが口中に広がり、胸のなかに木洩れ陽が現れたような気分になりました。

沖縄の高等女学校時代のクラスメートは、みんな「ひめゆり部隊」として亡くなったそうです。あまりにも壮絶で、目をつぶりたくなる話もありました。そのひとつひとつを経験されながら、それでも食べて喜ぶ人たちのために、動かぬ指で作り続けてこられたサーターアンダギーです。

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上野さん

カボチャのサーターアンダギー、心がこもっていて、とても美味しそうです。ハンセン病以上に、上野さんに与えられた宿命における生き方、そして戦争体験も詳しく後世に残すべきお話ですね。

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東本願寺での対談に参加して下さった方への返信

東本願寺での上野正子さんとの対談をお聞き下さり、ありがとうございます。
こんなにも真摯に聞いていただけて、あの対談が実現できたことを「良かったなあ」と思います。
それぞれが経験したことを、深いレベルで伝えていけるかどうか。
それが文化というものだと思います。
ハンセン病差別から起きた問題はほぼすべて「負の遺産」というものですが、
しかしそこから見えてくるのは、決してくじけない人間の心から生まれるユーモアです。
「あん」で伝えたかったことのひとつはそこです。
プロフィール
作家・歌手・明治学院大学国際学部教授

ドリアン助川

Author:ドリアン助川
物語をつづり、詩をうたう道化師です。

ライブ・公演情報
2021年12月
24日&25日
『新宿の猫』
菊川なぁ〜じゅ
近刊
「水辺のブッダ」(小学館)
「新宿の猫」(ポプラ社)
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