上野さんのサーターアンダギー

『あん』の徳江さんの精神的モデルである上野正子さんと、23日夜、東本願寺「しんらん交流館」にて対談をさせてもらいました。おこしいただいたみなさん、ありがとうございました。満員でしたね。
上野さん、14才のときに発症されて、以来78年間、鹿児島の国立ハンセン病療養所で暮らされてきました。その間、作り続けていらしたのが、ご覧のサーターアンダギーです。
お会いするたびにいつもいただくのですが、今回もまた鹿児島から持ってきて下さいました。芋ではなく、カボチャで作られた逸品です。控えめな甘さが口中に広がり、胸のなかに木洩れ陽が現れたような気分になりました。
沖縄の高等女学校時代のクラスメートは、みんな「ひめゆり部隊」として亡くなったそうです。あまりにも壮絶で、目をつぶりたくなる話もありました。そのひとつひとつを経験されながら、それでも食べて喜ぶ人たちのために、動かぬ指で作り続けてこられたサーターアンダギーです。