カラスのジョンソン 再びの飛行

10年前に絶版となった『カラスのジョンソン』が、
改訂版として刊行されました。ポプラ文庫です。
なぜ、10年間の沈黙を破り、今あらためて書き直したものを上梓するのか。
端的に言ってしまえば、この物語がフランスでの三冊目の翻訳書として選ばれたからです。
『あん』『ピンザの島』に続くフランス語での刊行です。
その受け皿として、日本でももう一度読んでもらえるチャンスが欲しい。
そう願ったのです。
カラスと少年の物語だと言ってしまえばそれまでですが、
社会的に弱い立場にある者の精一杯の声をボクは書き上げたつもりです。
駆除されていくカラスの巣。
カラスが苦手だ、嫌いだ、という人からすれば当然の行為に映るかもしれません。
でも、ボクはあくまでも比喩としてそのシーンを書いています。
シリア難民やパレスチナの人々が置かれた立場や、ヘイトの対象になっている皆さん。
我が心は、彼らのそばにあります。
そうそう。10年早く『万引き家族』を書いているのもこの『カラスのジョンソン』です。
書店にも並び始めました。
復活したジョンソン、ぜひ読んでいただきたい一冊です。