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空の色は変わらずとも。

ニューヨークのツインタワーに旅客機が突っ込んだ時、空はとても青かった。
広島上空で原爆が炸裂した時も、空はとても青かった、と訊く。
治安維持法が施行されたのち、検挙された人々の頭上もきっと青かった。
大杉栄が愛人や子供と虐殺された日、空は何色だったのだろう。

空の色は変わらずとも、風のささやきは変わらずとも、
歴史は常に動いていて、
それは多くの場合、だれかの欲望から始まる。

共謀罪が成立しましたね。
なにかをしでかさなければ検挙の対象とならなかった日本の法の概念が、
大きく大きく変わった日の青空が目の前にあります。

犯罪組織の一員でなければ対象にはならないのだから、とコメントを下さった方もいたが、
ここに来て、政府の答弁が変わったことを注視しなければいけないよ。
犯罪組織の周辺者にも適用される、と言葉が変わった。

なんだ、周辺者って?
道交法違反までを犯罪の範疇に入れるなら、
辺野古に基地をつくらないでと座り込む人たちをこれで一網打尽にできるようになった。

見てきたことから、最悪の想像まで、
考えて語るのがボクのような者のなりわいであり、生き方です。
権力が暴走しだしている場合(というか、すでにかなり暴走していますが)
どんなことが起き得るのかも、その可能性のなかで話します。

数日前、共謀罪について語りました。
興味がある方は、ここをクリックして下さい。

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カラスはなぜハゲないし死なないのか

コメントを読んで頂けたようで、ありがとうございました。
YouTubeの動画を拝見させていただきました。

ドリアンさんの主張のポイントは以下のようなものであったと理解しています。
「テロの根本的な原因は貧困、民族差別などにあるので対策にはならない」
「公安の活動を見ると、現行法でテロは未然に防げる」
「捜査員の判断に任せられ過ぎている」
「権力者の共謀については適用されない」
「権力者が統治するために乱用される可能性が高い」
「司法の独立は怪しい。公正な裁判が行われていない」
「密告社会になる」
「ネットで自由に発言できなくなる」
「この法律が施行されても何一つ良いことがない」

私はこのすべての意見に反論がありますが、動画を全部観たら、意見が異なる原因は理屈じゃないなと感じました。

動画を観て一番私が感じたのは、ドリアンさんの不安、猜疑心、権力者への不満といった「感情」です。
最初に主体的な感情ありきで、論を立ててるのだろうと想像しました。

歴史を見れば権力者が暴走することは普通に起こりますので、その危険性を十分に認識して、同時に不安を常に持って監視していくことが大切だと思いますが、ドリアンさんは少し不安になり過ぎているのかもしれません。
ドリアンさんの不安が掻き立てられるのは、共謀罪に限らないはずです。
法律全てに不安を感じていませんか?
なぜなら現行のどんな法律をとっても権力者は乱用を企てることができるからです。
そして、ドリアンさんの不安の感情を根拠にした論を突き詰めていけば、法治の否定に行きつきます。

もう少し、人間や社会を信頼なさってはいかでしょうか。

私も権力者の横暴を感じることは多々ありますし、司法の独立性は不完全だと思いますし、共謀罪の論議は詰め切れてない部分もあると感じます。

一方で、アラブの春や強い規制のある中国のネット社会を見ると、どんな政府であってもネット上の表現の自由は抑えられません。あらゆる情報は瞬く間に拡散します。権力者が共謀罪を悪用しようとしても国民を騙しきることは難しいでしょう。
何より、現行の日本の民主主義制度は強固で、酷い政府は民意によって倒されます。

世界をもう少しだけ楽観視して頂ければ、ドリアンさんの考えていたロジックがバランスが取れなくなったジェンガのようにガラガラガラっと崩れていくように思います。


カラスのジョンソンが味わった理不尽な悲劇は、それが起こる前に民意の圧力によって止められる社会にどんどん近づいています。
政治評論家の故三宅一生さんは「長い間社会を見てきたが一進一退を繰り返しながら、ほんの少しずつ良くなっている」と仰っていましたが、私もそのように世界を深く楽観しています。


長文でコメント欄を汚してしまって申し訳ありません。
不快でしたら非公開でも削除でもなんなりとご自由になさってください。

すいません

三宅一生さんじゃなくて、三宅久之さんでした。予測変換でやらかしました。
他にも誤字脱字ひどいですが、許してください。

今日は、助川さんの誕生日ですね。
おめでとうございます。
プロフィール
作家・歌手・明治学院大学国際学部教授

ドリアン助川

Author:ドリアン助川
物語をつづり、詩をうたう道化師です。

ライブ・公演情報
2021年12月
24日&25日
『新宿の猫』
菊川なぁ〜じゅ
近刊
「水辺のブッダ」(小学館)
「新宿の猫」(ポプラ社)
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