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選挙だね。

アリスンさんと_convert_20160707093906

機嫌がわるくても、お腹が減っていても、
失恋しても、二日酔いでも、選挙には行きましょうね。
それぞれの信条で一票を投じましょう。
意見が違ってぶつかりあっても、
互いのことをボロクソに言い合っても、
一票を投じ合うなら、民主主義は機能します。

でも、誰選んでもいっしょじゃん、とか
政府の言う通りにやってればいいんだよ、といった姿勢で、
あなたの投票権をどこかに捨ててしまうと、
そこから怪しげな雲がわいてきます。

もしも何割かの人々の投票権(人権でもあります)がこの怪しげな雲に変わってしまうと、
こいつはブラックホールとなり、
まっとうに政治をやろうとする人々の意志を飲む込み深淵や、
権力者によって利用しやすい暴虐の風の噴き出し口になったりします。

棄権という名のブラックホールは、
一見投げやりな人々の、絶対ゼロ度の非エネルギー体として映るものです。
しかし、問答無用の暗殺も、原子爆弾のカタストロフも、
入り口はここにありました。
独裁に傾く人々がここを呼吸の場とするとき、
絶対ゼロ度は、人を焼き払う魔の熱線にも変わります。

だから、どんな意見を持つ人であれ、
選挙には行きましょう。
まず、民主主義をシステムとして機能させましょう。
気味の悪い深淵がそばに口をあけるこの風景を眺めながら。

実際の政治は、金と力のぶつかり合いですから、たいへん泥臭く、また血なまぐさい部分もあるでしょう。
大国が覇権主義で圧力をかけてきたり、民が飢えているのにミサイルを試射しまくっている気のふれた王国があれば、不安な気持ちになるのは自然な感情です。

でも、だからといって、「抑止力」という名の際限のない軍拡競争に加わってしまえば、ともに負のスパイラルに入り込んでいくのは歴史が示している通りです。ここに入り込んでいって、かつて穏やかでいられ続けた国があったでしょうか。

これはボクの個人的な意見ですが、日本という地域に住む我らは、文化文明の点で、まだまだやれることがたくさんあると思います。
山中医師のように、難病で苦しむ人々のため、細胞の研究に人生をかけている人がいます。小津や黒澤、そして河瀬監督まで、映画で魅了する人々。漫画の台頭は本当に顕著で、どれだけ多くの国でONE PIECE が読まれていることでしょう。村上春樹さんもそうですね。日本食も大人気です。また、原発事故から、次の世代のエネルギーについて思考する人々が増えたことも事実です。現実に世界では原発が頭打ち状態になっているのですから、開拓に値する平原は目の前にあるのです。

海外で出会った「日本が好きだ」と話しかけてくる人々は、みなその理由に日本の文化をあげました。これはとても肝心なことです。
きめ細やかで、ユーモアがあって、無尽蔵ともとれる豊かな文化文明を築いていくこと。それこそが「抑止力」なのだとボクは思います。なぜなら人類にとって、その進捗への手応えこそが必要だからです。日本に住む人々の文化文明が世界の人々にとっても本当に大切なものになっていくこと。長い目で見れば、それがつまらぬスパイラルを遠ざける「抑止力」になるのです。

もちろん、あらゆる時代に不条理は起きます。その地域のために貢献しようとした人が過激派に命を奪われたりすること。どうにも説明のつかない悲劇も起きえます。過去の歴史を例にとり、豊かな文化文明を築いたところで隣国から侵略されたらおしまいではないかと考える人もいるでしょう。しかし、まさにその歴史が証拠となるように、その企ては長くは続きませんし、果てに迎えるものは必然の破滅です。

人類から自由意志を切り離すことはできず、その花と果実は文化文明にこそあります。理想だろう、と言われやすいことをボクは言っているのかもしれませんが、人類の糧の半分はこの理想というものでした。

さて、写真は、先月に那須の農園、豊穣庵のお堂で行ったライブ後の一枚です。小説「あん」の英国版を翻訳して下さっているアリスンさんが一人で車を運転されて、観に来て下さいました。アリスンさんはオーストラリア出身です。これから、日本人であるボクと、オーストラリアのアリスンさんと、英国の編集者のみなさんとで力を合わせて、英語の「あん」を出版します。これが「抑止力」を越えた「協調力」です。

そうそう。この日を境に、ボクは道化師のメイクをやめました。メイクなしでも、もう充分に道化師であることに気付いたからです。明後日のEggman Tokyo East でのライブも素顔で歌います。

ごちゃごちゃお前うるさいよ、という方も、お願いですから選挙に行きましょう。意見は違って当たり前。まずは民主主義を機能させましょう。

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不在者投票後、新幹線ホームに猛ダッシュ。発車ベル鳴ってる…なんとか間に合い上京!
こんなバタバタはおすすめできませんが、やっぱり、選挙いきましょ

選挙

不在者投票しました。

主人は持ち直しました。
姪御さんも、友達の結婚式に行って笑顔を見せています。
私は、ずっと白髪を染めていなかったことに気づき、自分で染めました。

母に食べ物を送り、電話がかかってきました。一時ケイタイの電源を切ってあったのですが、それを謝っていました。私も謝りました。お菓子を送ってくれるそうです。

少し進展しました。
プロフィール
作家・歌手・明治学院大学国際学部教授

ドリアン助川

Author:ドリアン助川
物語をつづり、詩をうたう道化師です。

近刊
「寂しさから290円儲ける方法」(産業編集センター)
(2023年5月23日刊行予定)
「動物哲学物語」(集英社)
(2023年10月26日刊行予定)
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