レズビアンコミュニティ。

25日(金)の夜に、燐光群の舞台「カムアウト」を観てきました。
3時間近い長い芝居ですが、圧巻ですよ。
揺さぶられるというより、揺さぶられない大切なものをあらためて確認できる。
そのような意味で落涙しそうになります。
座長の坂手洋二さんが1989年、27歳のときに書き下ろした作品です。
レズビアンコミュニティによるシェアハウスでの生活を物語の分母とし、
押し寄せてくる老いや孤独、親子の問題、無理解な世間、体制からの暴力などが
不安定にうごめく分子、あるいはある種の関数f(x)として描かれます。
27年前の脚本を今、1文字も変えずに再演するというこの大胆さが、
しかし見事に決まっていました。
「LGBT」などという言葉がなかった時代に、
坂手さんは性の多様性をすでに把握していたのでしょう。
そうでなければあり得ない鋭い舞台です。
たくさんの、無言の叫びからの「幸福」について、
この人は27歳でこんなにも真摯に向かい合っていた。
それが驚愕なのです。
ボク自身、今年はまさに性の多様性についての物語を書く計画なので、
瞠目のあとで大いに励まされもしました。
31日(木)まで、下北沢のザ・スズナリです。
文学座、円、テアトルエコー、オリジナルの燐光群の役者たち、オーディションに受かった新人俳優さん、役者陣の熱気も凄まじかった!