過ぎし日を振り返りつつ(1)

日を追うごとにきな臭くなっていく世界。
好戦的になっていくこの国の内閣。
このまま、非戦を誓った憲法はなし崩し的に壊されてしまうのだろうか。
二十代から三十代にかけて、
ボクは内戦の傷痕が残る地域を歩いた。
それをステージで語るようになったのが「叫ぶ詩人の会」の始まりでもあったのだが・・・。
もう一度あの頃の気持ちに戻るためにも、
武器が武器を呼んだ世界のワンシーンを言葉と写真でいくつかお伝えしたい。
「うろこマーケット」
うろこマーケットはうろこばかり
生きてる魚を刃物でこすり あちらこちらにうろこを飛ばす
一匹の魚から千枚のうろこ 千匹の魚から百万枚のうろこ 百万匹の魚から十億枚のうろこ
誰も掃除なんてしないから うろこマーケットはうろこばかり
口紅忘れたマーケット
大きなかごをかつぐのも ナマズの頭を落とすのも うろこの中で眠るのも
みんなみんな女ばかり うろこマーケットは女ばかり 男はもう残っちゃいないから
赤いスカートのナマズ売り 旦那は草のつゆになり
青い帽子の鯉売りは 家族残らず空になり
白いズックのうろこ引き 恋人散った 雲の果て
みんなみんな女ばかり うろこマーケットは女ばかり
誰も化粧なんてしないけど
一人の男と一人の女が出会って 三人の子供が生まれる
三人の男と三人の女が出会って 九人の子供が生まれる
九人の男と九人の女が出会って 二十七人の子供が生まれる
でも、男はいないんだ みんな虹の向うに隠れちまった うろこのように飛び散った
うろこマーケットはうろこばかり 誰も化粧なんてしないんだ
口紅忘れたマーケット うろこばかりのマーケット