花アブ
一月のきんかんの鉢植え。
その硬い葉に、小さな花アブがとまっている。
わずかな日だまりの底で
生命のしずくとして、ただじっと感じている。
この子がデザインされたのははるか大昔のことで、
その創造の意志はもっともっと太古のことで、
でも今、時期を間違えて出てきてしまった花アブは
花さえないこの一瞬を、
たった一度のおのれの生として味わう。
陽が暮れれば、冷気はこの子を包むだろう。
命の、燐光のような炎も
きっとそこで果てるだろう。
だが、まがうことなき生が
きんかんの葉の上で、今を感じている。
その硬い葉に、小さな花アブがとまっている。
わずかな日だまりの底で
生命のしずくとして、ただじっと感じている。
この子がデザインされたのははるか大昔のことで、
その創造の意志はもっともっと太古のことで、
でも今、時期を間違えて出てきてしまった花アブは
花さえないこの一瞬を、
たった一度のおのれの生として味わう。
陽が暮れれば、冷気はこの子を包むだろう。
命の、燐光のような炎も
きっとそこで果てるだろう。
だが、まがうことなき生が
きんかんの葉の上で、今を感じている。