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つちびとたちがやってくる!

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世界で唯一、「つちびと」を創り続ける可南さんから
東京での初個展のお知らせ「つちびと通信 早春号」が届きました。

ボクらアルルカンは、毎年大阪での個展に参加させてもらっています。
つちびとたちの実物を見ると、なぜか自分までもがつちびとサイズになって
彼ら彼女らの横に腰かけているような気分になります。そして物語が始まるのです。

つちびとの陶人形に加え、
手触りのいい陶アクセサリーも多数展示されると思いますので、
一度ご覧になられてはいかがでしょう。

可南つちびと展『いつか叶う日』
丸善・丸の内本店4階 ギャラリーBにて、
4月13日(水)〜19日(火)です。
(千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ内 東京駅の真ん前です)
可南さんのホームページはhttp://kanans.main.jp/index.html

横浜で講演やります。主に「あん」にまつわる話ですが、きっと脱線もします。

栄区講演_convert_20160226203311

3月2日(水)、横浜の栄区で講演をします。
主に「あん」にまつわる話ですが、クリームやドーナッツの話もするかもしれません。

フランスの絵本を翻訳したよ。あと淡路島行きます。

メガロポリス_convert_20160226203412

今年、ボローニャでピリマオペラ賞を受賞した
クレア・デュドネの絵本「メガロポリス」を翻訳しました。
邦題は「メガロポリス 空から宇宙人がやってきた!」(NHK出版)です。
このしかけ絵本、びらーんと延ばすと、なんと全長3.7メートルです。

型も大きく、子供たちにとっては完全にボードゲームサイズ。
ストーリーもさることながら、
クレア・デュドネの絵のなかにはたくさんの秘密がしこまれていますから、
時がたつのを忘れて見入ること必至です。

小さなお子さんがいらっしゃる方にはおすすめの、
イマジネーションにあふれたフランスの絵本です。

それから、ボクは今週末は淡路島で講演をします。
27日(土)淡路市サンシャインホール 映画「じんじん」13:30~16:00 18:00~20:30
   1回目の上映のあと、また2回目の上映の前に
     絵本「クロコダイルとイルカ」に込めた気持ちを話します。
28日(日)南あわじ市中央公民館
     13:00より「あん」原作者として講演、のち映画上映となります。

淡路島にお住まいのみなさん、あるいは近い! という方、講演と映画のセットはいかがでしょう。

世界の写真と朗読

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小説「メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか」(晶文社/文春文庫絶版)を書くため。メキシコ・シティ近郊のテオティワカン遺跡を訪れたときの写真です。「月のピラミッド」の頂上から、写真左奥に位置する「太陽のピラミッド」を眺めました。中央を貫くのは「死者の道」。紀元前のテオティワカン文明では生け贄が宗教的習慣の基礎をなしていたようです。生け贄とされた少年少女たちは、この通りをどんな気持ちで過ぎていったのでしょう。

明後日24日、世界を旅しながら書き溜めたものを朗読します。
朗読と写真「物語から広げる世界」
@ピースボートセンターとうきょう(03-3363-7561)
開場18:45 開演19:00  入場料300円 要予約

生姜はすごい!

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ついにインフルエンザが流行し始めましたね。
かかる時はかかってしまうと思います。
ボクもかつて一度だけインフルエンザで
新潟の中学校でのアルルカンのライブをふいにしてしまったことがあるので、
そのつらさ、くやしさがわかります。

ボクは普段から低体温で、握手をした人などに冷たいねと言われます。
たぶん、35度台が通常なのです。
それで風邪も引きやすいし、将来的には大病を呼び込む可能性もあるかなと思っていました。
そこで考えました。フリーのこの立場で今後も歩み続けるためには、まず体温を上げなければいけないな。とりあえず、36度台を目指そう!
高校時代に同じクラスだった外科医の今津嘉宏先生も著書「89.8%を防ぐ上体温のすすめ」(ワニブックス)のなかで、「体温を一度上げるとだいたいの病気にはかからないよ」と言ってくれているし、やはり高校時代の友達、ロック弁護士の島昭宏も病から立ち直るなかで「体温を高く保つことだ」と先日話してくれました。

体温をいかにして無理なく上げるか。
ボクがとった方法はこれです。
別にこのメーカーの回しものではないので、このパッケージそのものには意味がないのですが、生姜を日々ふんだんに摂ることです。
毎日、自分で生姜をすりおろし、お茶用のパックに入れて生姜湯を飲んだり、
生姜紅茶に混ぜて飲む。ただそれだけです。

そうしたらなんと、昨日、仕事の合間に体温を測ったら36.9度ありました。
これまでなら風邪を引いて、しんどいわ〜という時の体温です。
でも、いたって快調。この冬、一度も体調を崩していないことの理由がわかりました。今測ったところ、ご覧のように36.6度でしたが、これとて、今までなら通常の体温ではありません。

生姜、ききます!
実体験でわかりました!
ただ、すりおろしてお湯に混ぜて飲むだけ。
(砂糖は入れないようにね)

トークライブをする予定だった映画監督や、高校時代のアメフト部の先輩までもがインフルエンザで倒れてしまったので(もちろん、かかる時はかかるのですが)、こんな簡単な方法で体温が上がるよ、という報告でした。

船出

「あなたという国 ニューヨーク・サン・ソウル」への励ましの御意見、
ありがとうございました。

これが生業ですからもちろん部数も気になりますが、それ以上に今回は
「なぜこの物語を書いたのか」ということの心情的な説明をほとんどせずに刊行となってしまったことに対し、
自分なりの反省がありました。

今、その核となる部分をみなさんに読んでいただき、
この物語が生まれた背景を理解して下さる方が現れただけで、
ボクとしてはもう充分なのです。

すなわち、空母イントレビッドは空母ではなくなり、
大海に向けて静かに出航しました。

小説を購入していただき、最後まで読んで下さった皆さん、
心から感謝いたします。

苦戦!

 先月29日に発売された「あなたという国 ニューヨーク・サン・ソウル」。正直言って、ちょいと苦戦しています。(まあ、そういうものですけれどね)もう本が出てしまったわけだから、ボクにはなんともならないのだけれど、どうしてこの小説を書いたのか、その理由を新潮社の月刊PR誌「波」に寄稿しましたので、ここでも紹介させていただきます。

 胸のなかに鍾乳石を育むがごとく、長い時の流れがなければつむげなかった物語がある。私にとっては、二〇〇一年九月十一日のマンハッタンへと向かう青春群像を描いた「あなたという国〜ニューヨーク・サン・ソウル」がまさにそれで、あの日の混沌とした体験からひとつの物語を浮上させ、自分自身も想像していなかったエンディングを導くまでに、相当の歳月を要したことになる。

 私がニューヨークに移り住んだのは、同時多発テロが起きる前年の春だった。日本でのある種の生活のなかで心身ともに疲労を覚え、進むべき道さえわからなくなってしまった私は、まったく新しい環境に身を置く自分を日夜夢想するようになっていた。トランクとギターだけを持って、知り合い一人いない摩天楼の街へと飛び込んでいったのは、その衝動の果ての行為でしかなかった。

 結局、私は三年近くをマンハッタンとブルックリンで過ごしたのだが、最初に絡めとられたのは粘り着くような孤独というものだった。言葉が通じない。相手が何を言っているのかわからない。これが大きかった。それなりに英語はできるつもりでいたのだが、地下鉄のアナウンスひとつ聞き取れない。語るにしろ歌うにしろ、言葉で生きてきた人間にとっては過酷な状態が続いた。多人種が行き交う街で、私はいっさいの経歴を失った何もできない一人の東洋人に過ぎなかった。自然史博物館に展示されている隕石に触れ、「助けて下さい。力を下さい」とつぶやいたこともある。

 そうした日々のなかにも、しかし光は差し込んできた。言葉を交わす者たちが少しずつ増えていったのだ。午前中だけ通った語学学校で出会った若者たちがその相手だった。

 親が決めた結婚から逃げてきたコロンビアの美しい女性、マリア。酒を飲む私を非難するくせ、文具をいつも借りようとする中国のシェン。徹夜の厨房仕事からいつも眠たげな顔でやってきたベネズエラのマリオ。「ハラキリ」という日本語が好きだったアルゼンチンの伊達男、マルセロ。広島と長崎の仇をいつ討つのだとささやいたチュニジアの青年。やたらおしゃべりだったトルコの三人組の男たち。

 なかでも忘れられないのは、甥っ子の誕生日プレゼントをいっしょに探すことになったウクライナのナディアと、気付けば私の部屋に入り浸るようになっていた韓国の若者たちだった。米国で育ったわけではない彼らはみな、私と似たようなレベルの英語を話した。そして誰もが、どこか寂しげだった。母国と母語を離れ、不器用な人間どうしとして出会った時、世間一般の会話は意味を持たなくなる。どんな日々を歩んできたのか。今心に何を抱えているのか。互いに自然と、それを語りだすのだ。

 やがて私は日米のミュージシャンたちとロックバンドを結成し、ニューヨークでの初ライブに向けて奮闘するようになる。孤独はいつの間にか窓から出ていき、どうしたらバンドを軌道に乗せることができるのか、具体的な難題に追われ始めた。急に忙しくなった私を、ナディアもマルセロも、韓国の若者たちも応援してくれた。

 世界を震撼とさせた同時多発テロはその最中に起きたのだった。二機目の旅客機が突っ込むところからツインタワーが崩壊するまで、私は窓辺でただ立ち尽くして見ていることしかできなかった。そしてあろうことか、そのあとは避難してくる人たちの流れに逆らい、現場に近づこうとした。多様な人間の姿を見ることになるとは知らずに。

 だが、「あなたという国〜ニューヨーク・サン・ソウル」はそこで見聞きしたものを伝えるために書いたのではない。あの日失われた命のほぼすべてに、心を寄り添わせた人がいたはずだ。犠牲者は数字でカウントされるが、本当の損失と消滅は数えることができない。私は不条理の極みのなかでこの世から去らなければならなかった人たちへの追悼を通じ、もしあのテロがなければあり得たかもしれない別の世界を描いてみたかったのだ。それを書く必要性を感じたのは、あの日から始まった事態、人が人であることを苛むような状況が全地球規模で起き始めたからだ。

 人は、もう一度、人を取り戻さなければならない。長い歳月のなかでのその覚悟が、私にこの小説を書かせた。
プロフィール
作家・歌手・明治学院大学国際学部教授

ドリアン助川

Author:ドリアン助川
物語をつづり、詩をうたう道化師です。

近刊
「寂しさから290円儲ける方法」(産業編集センター)
(2023年5月23日刊行予定)
「動物哲学物語」(集英社)
(2023年10月26日刊行予定)
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