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一冊書き上げた!

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 金曜日、俺は仕事がうんとたまっているのにジュリエット・グレコに会いに行った。舞台に彼女が登場した時、本当に鳥肌が立った。87歳の歌声。声は掠れていたが、お腹からきちんと力強く出ていた。敬服した。その生き方に感謝した。

 土曜日、俺は締切を二つ抱えているのに、憧れのトランペッター、近藤等則さんに会いに行った。ペットから火花が出ていた。俺は生まれて初めて、ラッパを吹いている老子を見た。聴いた。感じた。近藤等則さんは地球という生命と同化しながらバイブレーションの祭りをやっている。いや、近藤さんはその唯一無二の手法をもって、地球を励ましているのだ。言葉がなにも出て来ず、靖国通りを長い距離歩いた。世の中には凄い魂がある。

 日曜日、俺は今日こそ仕事をしなければいけなかった。絶対しなければいけなかった。なのに気付いたら、日大フェニックスと早大ビッグベアーズの闘いの場にいた。二時間に及ぶ死闘をまばたきもせずに見ていた。日大の選手は命懸けでぶつかってくる。早大も真摯ではあるが、どこかちぐはぐだ。それが試合の結果になった。でも、素晴らしいものを見せてもらった。この競技を高校卒業とともにやめてしまった俺のなかの未練が、若い人々への嫉妬という形で燃え上がる。

 ああ、だからずっと机に向かっているのだ。
 
 今はこうしなければ、どこかに飛んでいってしまいそうだ。

 そして今朝方・・・本一冊分の原稿を編集者に送った。
 まだ小説の短篇が残っているが、これは心のなかで歌いながら書く。
 いや、いろいろとまだ序盤戦だ。

タキエさんがいた!

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 一人の日本人女性の人生。
 米国での最初の結婚に失敗。
 旦那からは暴力も受けた。
 続いての結婚、相手は亡命チェコ人。
 収入がないなか、二人で頑張る。

 ようやくドイツ国籍を得た旦那とともに、
 生活の礎を築き、
 二人の男の子にも恵まれる。
 しかしやがて、次男を事故で亡くしてしまう。

 波瀾万丈の人生ではあったが、
 彼女の口癖は「大丈夫よ!」
 そして、実に多くの人たちを助け、
 猫なども助け、
 日独のかけはしとして笑顔を絶やさなかったタキエさん。

 タキエさん亡きあと、
 ほとんど誰も知らないタキエさんのために、
 お世話になった人々が文を綴った。
 41人から寄せられたタキエさんの思い出だけで構成された
 「タキエさんがいた!」

 素晴らしい本です。
 涙も出たし、教わった部分もあります。
 そしてなにより、明るい力をいただきました。

 タキエさんに会いたい人は、
 有限会社こぶし書房まで。定価800円です。
 こぶし書房 03(3823)0524
  kbs@kobushi-shobo.co.jp

実践編とは?

 日記なのに。
 ブログを始めたばかりなのに。
 オフィシャル・サイトの模様替えもしなければいけないのに。
 ずいぶんご無沙汰をしてしまいました。

 実は近々中に一冊上梓させてもらえることになり、
 昼夜突貫小僧と化して、原稿に向かっています。

 まだ仮タイトルですが
 『バカをつらぬく! 老子・実践編』(角川SSC新書)

 前著の『バカボンのパパと読む老子』が10刷と好評をいただいたため、
 老子の口語訳に留まらず、
 生活のなかに『老子』のどんな知恵を取り入れれば、
 より世捨人に近付けるか、社会からはずれていけるか、
 ということを緊急で綴っております。

 11月には『大幸運食堂』を地名入りでリメイクした『多摩川物語』(ポプラ文庫)の発売も控えています。
 ほぼ同時期の発刊になるかと思います。

 しかしそれにしても、来月あたりからのライブ情報などをきちんと発表しなければいけないのに、
 事務仕事がまったくできていません。
 サイトのリニューアルも遅れそうで、みなさんに約束した手前、申し訳なく思っています。

 そこで今回は、レコーディング2日目にして咽をつぶしてしまい、
 夏風邪もあいまってよれよれの状態になっているアルルカンの動画がありますので、
 写真の代わりにアップいたします。
 (撮影/編集 ピクルス田村)

 http://youtu.be/JImkMSE9a_w

 『老子・実践編』を書き上げたら、
 『ニューヨーク・サン・ソウル』の第二話を完成させます。

 CD『クロコダイルの恋』は11月後半を予定しています。


 

ありがとうございました。

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 昨日、レイニーデイで行われた「ラブナイト」にお越しいただいた皆さん、ありがとうございました。
 午後9時までに終わらせるつもりが、後半の途中で時計を見たらすでに9時50分。
 久しぶりに時間感覚を失った自分がおり、皆さんの帰宅を思い切り遅くさせてしまいました。ごめんなさい。

 ただ、9.11のニューヨークをさまよった体験や、
 国籍を越えて多くの出会いがあったことなどを、
 自分が抱えた矛盾をさらしながらもゆっくりと語れたのは初めてのことかもしれません。
 今後、ニューヨークを舞台にした小説を書いていく上で、
 内面的に分水嶺を越えた夜になったような気がします。

 あの場に呼んで下さった小島ケイタニーラブさん、
 日本のムーン・リバーを探せ! 
 という企画で修善寺まで防災無線の音を録音しに行って下さったズッコケ三人組(小島さん含む)、
 豪華な打ち上げ(パエリアおいしかった!)までやって下さったスタッフの皆さん、
 そしてお越しいただいた皆さんすべてに深く感謝いたします。

 つぶした声は、なんとかもちました。

 なお、写真は東京新聞や中日新聞のコラムでもお世話になりました朝岡英輔さんです。
 
 
 
 

明日は9月11日

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 明日は9月11日ですね。2001年の同時多発テロはもう13年も前のことになりますが、ツインタワーが崩れるところを見て、真っ暗になったマンハッタンをさまよった体験は、つい数日前のことのように思い出されます。

 そこで明日は、Switch編集部の地下にあるレイニー・デイで、小島ケイタニーラブさん主催のイベントにて、全編ニューヨークづくめのトーク・朗読・ちょびっと歌もある時間を創れればと思っています。

 写真は、2001年の12月、ウェスト40丁目にある地下クラブ「Siberia」でのボクら「And Sun Sui Chie」のライブの模様です。ここはジャパン・マネーがマンハッタンの不動産を買い漁っていた頃、それに対する抵抗運動の中心地ともなったとんがったクラブです。それだけにボクらが9.11テロに対して強烈なメッセージを放つのではないかと期待したお客さんもいたのですが、ボクは敢えて何も言いませんでした。それは何故か、についても明日、お話しします。写真は当時すぐ近所に住まわれていた小林紀晴さんが撮ってくれたものです。

 18:30 OPEN 19:00 START
 参加費:前売・当日 2500円(1ドリンク込)
 会場:Rainy Day Bookstore & Cafe
 東京都港区西麻布2-21-28 スイッチ・パブリッシングB1F

ほら、担いできたジョンのパネルですよ。

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 写真のない記事が続いたので、リクエストにお応えし、少し昔のものになりますが、ジョンの特大パネルです。
 アークヒルズ内にあった旧テレビ朝日のスタジオから、ゴールデン街の菩提樹という店までこのパネルを担いで歩いたのは、今から20数年前の話です。木枯らし一番が吹き荒れた日で、青山通りを渡ろうとすると仮面の忍者白影のように何度か空に舞ったことを覚えています。

 咽、つぶれたままで、今日は小島ケイタニーラブさんとの練習を中止して、病院に行きました。
 咳もとまらないので薬を処方してもらいましたが、若い頃の喫煙が肺に影響を与えている可能性があると言われました。煙草をやめて14年になりますが、それは関係ないそうで、一度壊れてしまった肺胞は元に戻らないそうです。

 夕方から薬が効いてきた気分。
 咳が収まり、でも・・・声はそのままだなあ。

 11日のRainy Day Bookstore & Cafeでは、
 たとえばこんな詩も読んでみたいなと思っています。
 ひどい声かもしれないけれど。

 アレン・ギンズバーグのお師匠さんの詩です。

 [Pastoral ]
William Carlos Williams

When I was younger
it was plain to me
I must make something of myself.
Older now
I walk back streets admiring the houses
of the very poor :
roof out of line with sides
the yards cluttered
with old chicken wire, ashes, furniture gone wrong ;
the fences and outhouses built of barrel-staves
and parts of boxes, all, if I am fortunate,
smeared a bluish green
that properly weathered
pleases me best of all colors.

No one will believe this
of vast important the nation.

「田園の歌」
    ウイリアム・カルロス・ウイリアムズ

俺がガキだった頃
そいつは当たり前のことだった。
なんとしてでも成り上がらなければならない。
歳をとった今、
俺は貧乏ったれの家々にあきれながら裏通りを歩く。
壁と合わない屋根。
庭は、古い金網や灰、壊れた家具でぐちゃぐちゃだ。
樽の板や、箱の破片で作った塀や掘っ立て便所。
それらがどれも、運がよけりゃ、青っぽい緑に塗られ、
適当に季節が過ぎれば、
俺が一番好きな色になる。

誰も信じはしないだろう。
それが国家にとってすげえ重要であるってことを。

                   訳:ドリ助

デジタルの歳のとりかたってさあ。

 オフィシャル・サイトのリニューアルとともに、ネット環境を一新しようと思い、このブログを始めることにしたのです。特別なソフトを使わなくても、i-phoneを操作するだけで更新できるはずだったから。

 一昨日の釣り合宿(小坪漁港:鮎丸さん)や、昨日のゴールデン街シネ・ストーク20周年記念パーティ(ボクがジョン・レノンの巨大パネルを六本木の旧テレビ朝日から単身運びこんだ店。この時の冒険潭は、『ジョンを背負って7000メートル』(世界の果てに生まれる光:角川書店)という物語にもなっています)などを、現場からお伝えするはずでした。

 ところが・・・ボクのi-phoneは5年前に買ったもので、もっとも古いタイプ。こいつの中身だと、このFC2のアプリケーションをダウンロードできないのです。
 そんなこと、知らなかったよ。

 レコードからCDに変わる頃、よく「デジタルは歳をとらない」と言われたものです。
 EVERNOTEなんてソフトの命名にも、やはりデジタルは半永久的だという意味合いが込められているような気がします。しかし現実はまさに一年単位。中身はどんどん変わっていき、たった5年前のものが使えなくなる。テレビや洗濯機より、はるかに歳の取り方が早いですね。

 まあ、文句を言っていても仕方ないので、新しいi-phoneに変えるか、あるいは別の方法を考えるようにします。

 釣り合宿は、『バカボンのパパと読む老子』に興味を持っていただいた皆さんとの釣りと漁港宴会の夕べ。鮎丸さんがサザエやホタテをどばっと焼いて下さり、またボクらも釣りたてのアジやサバを炭で炙り、昼から夜まで飲み続けたのでした。鹿児島や兵庫から来て下さった皆さんも含め、とてもとても楽しい一日となりました。

咽をやっちまった


 昨日のレコーディングで力技を連発し過ぎたせいか、
 完全に咽をつぶしてしまいました。
 歌だけの録音ならどれだけ歌い続けても声が嗄れることはあり得ないのですが、
 クロコダイルはほら、語りがワニそのものですから、
 何度も吠えているうちに、咽爆発、やっちまった状態になってしまいました。

 今日は声がまったく出ません。
 レコーディングはできず、かといってスタジオをキャンセルするわけにも行かず、
 ピクルス田村くんと興じたことは
 「そういえば俺たち、動画のインタビューとかないよねえ」ということで、
 互いにカメラの前に座っての長い独白です。

 田村くんが編集するそうですので、
 いつかフェイスブックとかにアップされるのでしょうか。

 声が出ないのだから、いつもと逆をやろうということで、
 ボクがギターを弾き、田村くんが歌うという珍しいパターンも収録しました。
 これもきっとアップされると思います。
 お楽しみに。(といって、いつのことでしょうか)

 明日は海。


 

若さゆえ

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 今日からレコーディングに入りましたアルルカン・ヴォイス・シアター。
 道化師2人、おじさんと若者のユニットです。

 ご紹介しましょう。これがメイクをしていないスッピン時のピクルス田村くん。
 彼は平成元年生まれのギタリスト。ほぼ、息子のような存在です。

 若さゆえ、ギターを弾き終えるとパンにかじりつかずにはいられない田村くん。
 若さゆえ、そのパンはチーズと油でべっとり。
 若さゆえ、スタジオ作業終了後には天重サラダセットを頼んだ田村くん。
 
 ちなみにボクは、味噌煮込みうどんセットでした。

 今日一日で声が嗄れてしまったよ。
 明日は新曲「アカカンガルーのテーマ」でも作るか。
 
 

えざきみつるさんに会いに行こう!

江崎さん サンショウオ

 今月6日(土曜)から16日(火曜)まで、鎌倉のギャラリーやまごにて、
 版画家・江崎満さんの個展「森羅万象」展が開かれます。

 生き物満載の曼荼羅世界とも言える江崎ワールド。
 アルルカンの歌「美しい人よ」のモデルともなった奥能登の版画家です。

 ギャラリーやまごは鎌倉市小町2-2-10 
 江崎さんは開催中、ずっと在廊されるそうです。

 ボクはもちろん、江崎さんに会いに行きます。
 会って、見て、感じて、呼吸して、笑って、(ひょっとしたら何か買って)
 鎌倉の空気と生き物たちの息吹きを記憶して帰ってこようと思います。

 問い合わせは、「港の人」(出版社です) http://www.minatonohito.jp まで。

 
  

レコーディング準備

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 9月になりましたね。
 東京は雨。この季節にしては珍しく、肌寒さを感じる気候です。

 ボクは作家であると同時に、物語を舞台で演じる道化師(アルルカン)です。

 今週、「クロコダイルの恋」のレコーディングを行います。
 今日はその最後の打ち合わせ。
 アルルカンの舞台で5年間やり続けてきた演目です。
 映画「じんじん」で物語の核にもなり、
 そこから生まれた絵本「クロコダイルとイルカ」は今春「けんぶち絵本の里大賞」を受賞しました。

 アルルカン・ヴォイス・シアターの相方であるピクルス田村君がギター。
 ボクがボーカル。
 作曲はそれぞれがやりました。

 ご覧の絵本はあべ弘士さんが手がけて下さいましたが、
 今回、CDのジャケットは自分で描くつもりです。

 11月のリリースを目指して頑張ります。
 どんなワニとイルカが現われるのか。
 楽しみにしていて下さい。


 
 
プロフィール
作家・歌手・明治学院大学国際学部教授

ドリアン助川

Author:ドリアン助川
物語をつづり、詩をうたう道化師です。

近刊
「寂しさから290円儲ける方法」(産業編集センター)
(2023年5月23日刊行予定)
「動物哲学物語」(集英社)
(2023年10月26日刊行予定)
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