夢で語ってくれた人

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君が幸せになる仕事を選びなさいよ。
そうでないと、近しい人を幸せにすることもできない。
それからね、そういう仕事をしたいなあと思っているだけではだめだよ。
そういう仕事を、する、のだよ。

眼鏡の大きなおじさんはボクの夢のなかに現れ、
にこやかな笑顔でそう語ったのだった。

一昨日のことだ。
執筆の仕事が終わらず、仕事場の簡易ベッドで横になったら、
初めて見るおじさんが現れ、そう語った。

すごく目覚めが良かった。
同時に、あれは誰だったのだろうと、とても奇妙な気分になった。
会ったこともないおじさんだった。
いったい彼は誰?

昨日の夕方。電車のなかで揺られていて、おじさんが誰であったか思い出した。
昭和35年、日比谷での演説中に右翼の少年に刺し殺された
当時の社会党委員長、浅沼稲次郎さんだ。

ボクが生まれる前に亡くなった人。
当然、縁もゆかりもない。
だが、浅沼さんは三宅島で生まれ育った人なので、島の生家跡に銅像が立っている。
ボクは三宅島に滞在する度、この生家の隣にある「リターノ」というレストランに通っているので、この反骨の政治家の小さな生家をいつも感慨をもって見ていた。
(「リターノ」は、イタリアントマトを育てて下さっている菊地農園のとれたて野菜をじかに食べられるレストランです。島の魚もうまいよ!)

それでこの間、生家の傍にある浅沼さんの銅像の写真を撮りつつ、志半ばで倒れた彼の運命に対し、そっと手を合わせたのだった。
行為としては、ただそれだけのことがあっただけだ。

浅沼さんの魂がどうのこうのというオカルトな話ではなく、
そのときの銅像に向かった印象が深層心理のなかで残像として残っていたのだろう。
それが夢に出てきただけなのだと思う。
でも、やはり説明がつかない。

夢のなかの浅沼さんは、生きている人間のその姿だった。銅像ではないのだ。
加えて、彼が話してくれた言葉。

君が幸せになる仕事を選びなさいよ。
そうでないと、近しい人を幸せにすることもできない。

これはよく言われることだし、ボク自身もそう思っているので、
自分の真理が夢の他者の言葉を借りて出現したのかもしれない。
でも、次の二行の言葉。

そういう仕事をしたいなあと思っているだけではだめだよ。
そういう仕事を、する、のだよ。

これは自分から放ったことはなかった。そんなふうにあらためて考えたこともなかった。

心とは実に不思議なものだ。
生物学的には、記憶を得たことが心の起源だと言われている。
だけど、存在としての心は、いったいどこにつながっているのだろう。

やったー! ついに実り始めた!

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三宅島でついにイタリアのトマトが実り始めました!
火山灰土が好きなイタリアのサンマルツアーノ種。
もしや三宅島で栽培可能では? と思い始めて十余年。
今年の春から、民間では菊地農園さんと
公では島しょ農林水産総合センターさんに実験栽培のお願いをしていたのですが、
ほら! こんなにも鈴なりです。しかも赤くなりだした!
(写真は農林水産総合センター 三宅事業所)

農園でもセンターさんでも、今のところ順調に成長しているようです。
明日葉、果物、花卉(かき)。
これが三宅島の農業の三大柱ですが、
ボクはそこにこのトマトを加え、
本当の調理用トマトの味とともに、
復興に向かうこの火山島のポテンシャルを広めたいと思っています。

販路開拓は来年から。
それより今年はこのトマトたちがおいしく育ってくれることを祈ります。
島のみなさんとの収穫祭がとてもとても楽しみです!

でも、これからの猛暑と湿気が大敵!
まだまだ油断はできませんね。

海を越えてトロフィー届く!

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こんちは。ドリです。
昨夜、フランスからDOMITYS文学賞のトロフィーが届きました。透明な、アクリルボードの楯です。

今回の受賞、ようやく色々わかってきて、ノミネートにはアカデミー・フランセーズ(フランス学士院)の人気作家アミン・マアルーフさんもいらしたということです。彼の前任はクロード・レヴィ=ストロースさんだと考えると、ボクにとっては、ほとんどもうどっきりカメラの世界です。

すでにたくさんお祝いの言葉をいただいていますので、初めてアジアにやってきたこのトロフィーを観ていただくだけでけっこうです。喜びをともに! そして今日は原宿クロコダイルで久々フルメイクのライブです。

空の色は変わらずとも。

ニューヨークのツインタワーに旅客機が突っ込んだ時、空はとても青かった。
広島上空で原爆が炸裂した時も、空はとても青かった、と訊く。
治安維持法が施行されたのち、検挙された人々の頭上もきっと青かった。
大杉栄が愛人や子供と虐殺された日、空は何色だったのだろう。

空の色は変わらずとも、風のささやきは変わらずとも、
歴史は常に動いていて、
それは多くの場合、だれかの欲望から始まる。

共謀罪が成立しましたね。
なにかをしでかさなければ検挙の対象とならなかった日本の法の概念が、
大きく大きく変わった日の青空が目の前にあります。

犯罪組織の一員でなければ対象にはならないのだから、とコメントを下さった方もいたが、
ここに来て、政府の答弁が変わったことを注視しなければいけないよ。
犯罪組織の周辺者にも適用される、と言葉が変わった。

なんだ、周辺者って?
道交法違反までを犯罪の範疇に入れるなら、
辺野古に基地をつくらないでと座り込む人たちをこれで一網打尽にできるようになった。

見てきたことから、最悪の想像まで、
考えて語るのがボクのような者のなりわいであり、生き方です。
権力が暴走しだしている場合(というか、すでにかなり暴走していますが)
どんなことが起き得るのかも、その可能性のなかで話します。

数日前、共謀罪について語りました。
興味がある方は、ここをクリックして下さい。

初めて文学賞をいただきました。

フランスの本屋_convert_20170608143546

フランスのDOMITYSという文学賞を『あん』(仏語タイトル『Les délices de Tokyo』)が受賞しました。
あまり知られていない文学賞ですね。
フランス中の老人ホームの読書クラブと評論家、書店員が投票によって選出する賞でして、
最終5冊の候補から、
なんと46%という得票率で受賞しました。

日本人にとってはまったく無名の賞でありますが、
この賞を得たアジア人はボクが初めて、
なおかつ、昨年の受賞者はピューリッツア賞にも輝いた!
というあたりがわくわくするポイントです。

老人という言い方・・・。
あまり好きではありません。
だって、今の70代80代のフランス人は、カルチェラタン闘争を率い、
ヌーベルバーグの支持層として世界を再構築されようとしたみなさんです。

そして今は、人生経験も豊富。
そんなみなさんが選んで下さったのですから、
だれも知らない賞であろうと、
ボクはありがたく受け取ります。

フランスのみなさん、ありがとう!
そして、翻訳をして下さったミリアム・ダルトアさん、ありがとう。

ちなみに、二冊目の『Le Rêve de Ryosuke』もフランスでは破格の扱いのようです。
Haruki Murakamiさんなんかと並んでいますもんね。
ありがたい!
プロフィール

ドリアン助川

Author:ドリアン助川
物語をつづり、詩をうたう道化師です。

ライブ・公演情報
7月23日(日)
まちジャム
多磨全生園

7月29日(土)30日(日)
星の王子さまミュージアム(箱根)
近刊
「星の王子さま」(皓星社)
「バカボンのパパと読む老子」(角川文庫)
「バカボンのパパと読む老子 実践編」(角川文庫)
「海の子」(ポプラ文庫)
「ピンザの島」(ポプラ文庫)
「坂道 〜Les Pentes〜」(ポニーキャニオン)
「あなたという国 ニューヨーク・サン・ソウル」(新潮社)
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