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新年の挨拶

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まるまる一週間遅れてしまいましたが、新しい年の挨拶をさせていただきます。

書き下ろしの原稿を抱えたまま卒論指導の苛烈な時期に入り、暮れも正月もまったくありませんでした。夢の中でもよくわからない学生の作文にアンダーラインを引いていて、さすがに笑ってしまいました。

ただ、そうした状況の中で、昨日茅ヶ崎で行われた開高健さんの文学フェスが盛況、成功裡にお開きとなり、気持ちの上でようやく2023年が始まりました。

写真の本は、ニューヨークで暮らしていた頃に翻訳を試みようと思い、5番街の書店で買ったものです。ベストセラーとなったポプラ社の『Good Luck』(田内志文さん訳)とは別の本で、幸運をつかむための世界中の儀式や呪文などが紹介されています。

残念なことに半分ほど訳したところで、日本ではこの本の抜粋が別タイトルで刊行されていることを知り、翻訳を断念したのですが、以降20年手元にあります。内容が面白いので、時々読み返しているのです。

そこで思うことですが・・・宝くじが当たるとか当たらないとか、そうした確率論的な幸運については、人はいっさい何もできません。でも、幸運はすぐ近くに、確実なものとしてあります。

それは、どのような状況においても、意味と意義を見つけることです。会社が潰れても、借金を背負っても、病気をしても、別れがあっても、そこに意味と意義を見つけることができる人は幸運の持ち主です。

何を書こうとしているのかよくわからない大量の原稿と向かい合い、元旦からオンラインで学生と面談する。これは普通なら避けたい状況かもしれません。しかし、そうした作業を通じて、ボクもまた学生から「現代」を教えてもらっています。なんと幸運なのだろうと思います。

2023年、みなさんにも安定した幸運が訪れますように。

ライブ『多摩川物語 〜You raise me up 編〜』

多摩川物語

クリスマス(に便乗した)ライブのお知らせです。
朗読と歌で『多摩川物語』を少数精鋭の皆さんにお届けします。
12月24日(土)、25日(日)菊川の「なあ〜じゅ」です。
『多摩川物語〜You raise me up編〜』

出演(檸檬酒)ドリアン助川、三咲順子、ピクルス田村
両日とも、開場16:30 開演17:00 です。
「なあ〜じゅ」東京都江東区森下5-20-3 の2階
(問い合わせ、申し込み)03-3635-8366
#都営地下鉄「菊川」が最寄駅です。
ミュージックチャージ 3500円+ご飲食代

物語の朗読だけではなく、歌も10曲以上お届けします。
どこからかホルモン焼きの香ばしい匂いが漂う下町でのクリスマス、
檸檬酒の語りと歌でお楽しみください。

開高健さんの文学フェスをやります。

悠々として急げ。
開高健さんの文学フェスティバルをやります。

日本ペンクラブが毎年どこからの自治体と組んで行ってきたビッグイベント「ふるさとと文学」。
今年度は「開高健の茅ヶ崎」です。

第1部 映像ライブ「戦争という原郷あるいは現況、そして幻境 〜開高健の人・作品・世界」
第2部 朗読劇『掌のなかの海』出演:竹中直人、中村敦夫
第3部 シンポジウム 出演:桐野夏生、ドミニク・チェン、永山義高、滝田誠一郎、ドリアン助川

ボクは、第2部の脚色・演出と第3部シンポジウムの司会をやります。
『ベトナム戦記』『輝ける闇』『夏の闇』『オーパ!』あるいはサントリーのCMに痺れていたというみなさん、ぜひいらしてください。残席、すぐに埋まってしまいそうです!

2023年1月7日(土) 13:00〜16:00
茅ヶ崎市文化会館大ホール

無料イベントですが、事前申込の指定席制です。
問い合わせは、茅ヶ崎市文化会館生涯学習課 0467-82-1111

https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/kankou_list/1050044.html

『寂しさから290円儲ける方法』第10話 奈良・ならまち(後編)

『寂しさから290円儲ける方法』、この第10話「奈良・ならまち後編」をもってお開きとなります。ご愛読、ありがとうございました。

これまでウェブで公開してきましたのはパイロット版ですので、新たにあれこれ書き直し、来年、一冊の本として旅立たせます。

なによりも、なぜ290円なのか。
その理由を記した最終章をまだ発表していません。
ニャン太さんもいなくなり、新しい「おたすけ料理人」の登場となります。
この秋〜冬のブラッシュアップ作業が楽しみです。


https://note.com/monvoyage/n/nee50d061cc7a?magazine_key=m24342d2bac23

「動物哲学童話」おひらき!

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世界一過酷だと言われるコウテイペンギンの産卵と子育て。
月刊誌『青春と読書』(集英社)で連載の機会をいただいた『動物哲学童話』。おひらきの第20話は、コウテイペンギンの物語です。

20ヶ月にわたり、版画家の溝上幾久子さんが並走してくださいました。
計20(本当は21)種の動物(鳥類も含む)を、銅版画で新たにに生み出してくださったのです。毎回、溝上さんのダイナミックな作品を拝見するのがとてもとても楽しみでした。

このシリーズ中、哲学者の名はあまり出てきません。でも、必ず一人の哲学者の思想が隠れているのです。今回は、V.E.フランクルでした。

これまで『動物哲学童話』を読んでくださった皆さん、ありがとうございました。作品はブラッシュアップし、哲学者の秘密を語るあとがきもつけて、来年に刊行させていただく予定です。

ただ、まだ、日本と南米(南極)の動物の物語を書いたのみです。
今後どういう形であれ、世界の動物と哲学者を絡め、作品数を増やしていきたいと思っています。
プロフィール
作家・歌手・明治学院大学国際学部教授

ドリアン助川

Author:ドリアン助川
物語をつづり、詩をうたう道化師です。

ライブ・公演情報
2021年12月
24日&25日
『新宿の猫』
菊川なぁ〜じゅ
近刊
「水辺のブッダ」(小学館)
「新宿の猫」(ポプラ社)
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